「求職者支援制度」スタート 失業者に生活費、職業訓練

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基金訓練が恒久化され、2011年10月から新制度としてスタートしました。

(2011年10月11日 読売新聞)
 
 失業で収入がなく、就職に必要な知識や技術もない――。そんな人を対象にした「求職者支援制度」が、10月から本格スタートした。雇用保険の失業手当が受けられない人に職業訓練を行い、生活費も支給する内容だ。(中略)

第2の安全網

 この支援事業は2008年秋のリーマンショックによる厳しい雇用情勢を受け、09年7月から今年9月までの期間限定で実施された。しかし、失業手当を受けられない人が増えていることから、10月から恒久的な制度として本格スタートした。

 現在、雇用されて働く人の3人に1人はパートなどの非正規労働者で、失業者の3人に1人は1年以上の長期失業者。実際、10年度にハローワークに新規登録した求職者の半数が、失業手当の受給資格がなかった。

 失業手当を受給中(約3か月から11か月)に就職できなかった失業者や、自営業をやめた人、短期の労働を繰り返してきた人、新卒未就職者など、失業手当に該当しない人たちは、当面の生活が心配で、安定した職を探すことが難しく、職業能力を身につける機会も乏しい。

 一方、生活に困った人には生活保護もあるが、預金など全てを失い、働くことも難しい人などが対象のため、失業してもすぐに受給できない場合が多い。

 雇用保険を「第1の安全網」、生活保護を「最後の安全網」とすれば、求職者支援制度はその間を埋める「第2の安全網」といわれる。「失業者が生活保護に陥らずに、再起の足がかりとなる可能性がある」と、大嶋寧やす子・みずほ総合研究所主任研究員はその意義を説明する。

受給要件厳しく

 10月からの実施にあたり、本人の収入が「年200万円以下」から「月8万円以下」へ、世帯全体の金融資産も「800万円以下」から「300万円以下」へと、受給要件が厳しくなった。「訓練を真面目に受けず、金目当てに近い受講者もいた」(訓練校の講師)との反省から、3〜6か月の訓練期間中、月1回、ハローワークに行くことも義務付けられた。前月の訓練の出席状況を確認後に、前月分の給付金が支給される。病気などを除いて一度でも訓練を欠席したり、ハローワークの就労支援を拒否したりすると給付金は出ない。

 厚生労働省によると、この9月までに約49万人が職業訓練を受け、一定の要件を満たした約34万人が生活費も受給した。今年4月末までの受講者のうち、訓練後3か月以内に就職できたのは7割。就職者の4割はパートやアルバイトで、常用雇用は3割だった。

 この制度は、公費と労使による雇用保険料で財源が賄われており、効果的な支援体制をいかに築けるかが今後の課題だ。訓練中や終了後、求職者一人ひとりに応じた就職支援をきめ細かく行えるかどうかがカギを握るが、ハローワークの常勤職員1人あたりの失業者数は283人で、イギリスの12・3倍、ドイツの7・6倍に上る。「十分な体制とは言えず、職員の人員拡充や専門性の向上が必要だ」と大嶋さんは指摘している。(後略)




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