正社員目指す就労支援制度
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正社員を目指すフリーターや派遣社員など専門のハローワーク、専門職員が一対一指導
不況の長期化に伴い派遣やパートなどの非正規労働者が増え、今では雇用されて働く人の35%に達する。正社員と比べて一般に低賃金で、景気変動に伴う失業の可能性も高く、生活は不安定だ。医療保険などの社会保障制度でも、正社員との格差は大きい。多くが正社員への就職を希望しているが、職場で教育訓練を受ける機会も少なく、なかなか非正規から抜け出せない。
こうした状況を受け、非正規労働者の正社員への就職を促進するため、2008年に国が設置したのが「非正規労働者総合支援センター」(通称・キャリアアップハローワーク)。職業紹介だけでなく、住宅や生活資金の相談なども含めた総合的な支援を行っている。現在は全国32か所に開設されている。
正社員への就職支援の柱は、専門職員がマンツーマンできめ細かくサポートする「正規就労支援プログラム」。過去5年間に正社員として3年以上継続勤務したことがない人が受けられる。学校卒業後5年未満の人も利用可能だ。訪問者はまず「プレ相談」を受け、プログラムに参加する必要があるかを判断する。
プログラムの期間は2〜3か月。東京キャリアアップハローワーク(東京・新宿区)を例に取ると、最初に「自分を知るセミナー」で、本人の興味関心や適性を把握する検査を実施。結果をもとに本人の希望や性格に応じて支援計画を立てる。内容は、応募書類の書き方や面接の受け方、あいさつや服装といった基本的マナーなどだ。必要な人には「模擬面接」も行う。すべて予約制で、同じ担当者が一対一で指導する。一般のハローワークで実施する職業訓練も並行して受けられる。
職業紹介の段階では、企業への個別の売り込みも行う。プログラム期間内に就職が決まらない場合は、延長も認められる。同ハローワークでは、プログラム利用者の半数が最終的に正社員として採用されたという。
ただ、職を失った非正規労働者の多くは早く次の仕事を見つける必要に迫られ、プログラムを受けるのは東京では2割程度にとどまる。プログラムは在職中でも利用できるので、計画的に制度を活用したい。
引用元:正社員目指す就労支援制度(2012年5月3日 読売新聞)